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映画「この世界の片隅に」感想

この世界の片隅に」感想
※ネタバレ有

 

 


噂の「この世界の片隅に」見てきました。

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ずっと見たいなと思いながらも遠くの映画館でしか上映されていなかったので諦めていたのですが、家から1番近い映画館で上映されるようになったとのことで、喜んで行ってきました。


すごいですよね。最初は数少ない映画館でしか上映されていなかったのに、こんな田舎の映画館で上映されるようになるとは・・・。大人の事情で民放では全く宣伝されていないですが、やっぱり良い映画はきちんと評価されるものですね。

 

喜んで行ってきたと書きましたが、私は元々戦争映画が苦手です。
苦手なのに見てしまいます。例えが悪いですが、恐がりなのにホラー番組を見たがる気持ちと似ているというか・・・。


正直戦争映画は怖いです。

「死」と「暴力」というテーマからは逃れられず、それは平和な世界をのほほんと生きる私にとてつもないショックを与えます。小さい頃は「火垂るの墓」は怖くてみれなかったし、大人になって見た「戦場のピアニスト」で足の悪いおじいさんが兵隊によって窓から投げられるシーンは脳に焼き付いて忘れられません。

 

でもやっぱり見てしまう、興味があるから。
戦争時代に生きていた人の生活、考え方、価値観に興味があるから。

 

「この片」を知ったきっかけはツイッターで回ってきた感想ツイートでした。そのツイートには、「この片」は「戦時中にしみじみと暮らす話」とありました。私は「ほう・・・」と感心しました。この映画は普通の戦争映画とは何かが違う気がする、と。

 

確かに全然違いました。

私の思っていたのとも全然違いました。

 

私は「この片」を、戦時中で苦しくてもたくましく生きる日常を描いた話だと思っていました。
いや、間違っていない。確かにそれは間違っていないんですが、脳内お花畑の私はなぜか戦争中の「悲劇」については、すっぽり抜け落ちていたんです。それ故衝撃を受けました。
すずさんの失ったものに。

 

晴美が死んだ後、すずさんはぐるぐると落ちていきます。
頭に残るのは後悔ばかり。あの時左手で手を繋いでいれば。近くの柵の間に飛び込んでいれば。私が死んでいれば。
自身も右手を失ったすずさんの心は、歪んでいきます。
でも少しずつ少しずつ立ち直っていきます。

 

そんな最中訪れる「玉音放送」。
いつもぼおっとしているすずさんが見せる激しい「怒り」。
驚きました。戦争が終わってホッとしている人が大半だと思っていたからです。
でも実際は違うんですね。色んなものを失くしてそれでも耐えて耐えて・・・その結果が何も残らなかったら悔しいですよね。

 

私の印象に残った二大シーンはこの2つ。
演出もすごかった。
特に晴美と一緒に爆風にやられるシーン。
今までの明るい風景の映像とは対照的な真っ黒画面に白い火花。
繋いだ手が離された所は痛くて目を瞑りたくなるほどでした。

 

こう書いていくと「悲劇」ばかりが目立ってしまいますが、全体的には戦争下の日常をシンプルに切り取ったような映画です。
戦争映画によくある鬱々とした暗い画面は無く、絵が明るく美しく、そして優しい。

 

登場人物もすずさんをはじめ、皆優しいんですよね。
特にすずさんの夫になる周作さん。
戦争中の内陸勤務の男の人がメインのキャラクターは珍しいですよね。彼が軍事訓練等ですずさんの元を離れる度、死なないでくれ・・・!と祈る気持ちでいっぱいでした。


映画の中ではすずさんを一途に想う男性のように描かれていますが、原作だとちょっと違うんですよね。見終わった後、感想や考察をググる中でそれを知って少しショック・・・(笑)

 

日常の中の「悲劇」は現代でも起こりうることですよね。
大切な人が亡くなったとか、家族が病気になったとかの大きなものから、仕事が上手く行かないとか、友達とケンカしたとかの小さなものまで。
大切なのは、自分で自分の心を持ち直す力なのかな。
自分の身に「悲劇」が起こっても生きていく選択をした限り、少しずつでも歩いていくしかないんですよね、すずさんのように。

 

「過ぎたこと、選ばんかった道、みな覚めて終わった夢と変わりはせんな」

この周作さんのセリフ、好きです。


これで「君の名は」「聲の形」「この世界の片隅で」と、去年ヒットしたアニメ三作全て見終わりました。
どれも賛否両論ありますが、それぞれの映画にそれぞれの良さがあって面白かったです。
「君の名は」は愛を大声で叫ぶような映画だし、「聲の形」は心の小さな泣き声に耳を傾けるような映画だと私は思います。
でもどれも共通して映像が素晴らしく綺麗。実写を越える美しさ。これはアニメーションならではの良さですよね。

 

この映画を面白いかときかれたら、面白いと即答します。
でもオススメかときかれたら、う〜ん。
人によってはトラウマ映画になるような気がしないでも・・・。
私はもう一度見たいですが、見るのにちょっと時間が必要な感じです。
とりあえず原作読んで、色々と考えを深めたいです。

ミュージカル「ロミジュリ」をみて

ミュージカル「ロミオとジュリエット」感想

※ネタバレ注意

 

1月18日、東京。
ミュージカル「ロミオとジュリエット」を見にいってきました。

 

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正直に言ってめちゃくちゃ面白かった。
死ぬほど面白かった。

観る前は「楽しみだな〜ふふ〜ん♪」て心軽やかな感じだったのが、観終わった後は「すごいものを観てしまった・・・」と呆然としました。

出演者みなさんの歌とダンスの迫力がとにかくすごい!エネルギッシュ!鳥肌立ちまくり。
原作がハムレットの三大悲劇の一つなので、小難しく暗い舞台を想像してましたが、現代風でコミカルな演出でミュージカル初心者の私でもすごく楽しめました。

私のお目当てはというと、ジュリエット役の生田絵梨花ちゃ〜ん!
ジュリエット姿もハンパなく可愛かった・・・。天使かよ・・・。
でもそれだけじゃなくて、以前見た「リボンの騎士」と比べて歌も演技もレベルアップしてるように感じました。
真面目で努力家で、アイドルになる前からミュージカル女優を目指していた彼女。
自分の夢に向かってひたむきに努力しているんだなと思うと、頭が下がる思いでいっぱいです。

ロミオ役は大野拓朗くん。「三匹のおっさん」等に出ているイケメン俳優さんですね。生でみると背が高く顔がとても整っていておキレイ・・・!力強い歌声がすごくかっこよかったです。

二人の恋愛模様はジェットコースターのような勢いと目まぐるしさ。
好き好き大好き!結婚する!!!みたいな。
若い子特有の恋愛だな〜と、アラサーにもなるともはや親目線(笑)
お互い一目惚れしたからって、親に別れさせられる前に結婚はさすがに浅はかじゃね!?と思ってしまったりも…。
それでも情熱的な二人にうっとり。

しかし私は納得行かない。
なぜこの物語は悲劇なんだ!!!!!
いや、分かってましたよ。分かりきってましたよ。
世界的な有名作だし、結末くらい知ってましたよ。
だけとハピエン厨の私には悲しすぎた。第一幕で(完)とかにならないですかね・・・?崩壊と悲劇の第二幕が辛い。
二人の犠牲により両家は和解できたかもしれないけど、二人はもう二度と戻ってこないんやで・・・。
木下ジュリエットも含めてあと三回観る予定ですが、私のメンタルが耐えきれられるか不安で仕方ない・・・。

と、まあ私の御託は置いといて。

主役の二人以外では、死のダンサーの大貫勇輔さんがとても印象に残っています。
ロック調の曲やダンスが多い中、死のダンスはバレエっぽく、クラシカルな雰囲気が不気味さにマッチしてて背筋が凍る思いがしました。
明るいシーンでも大貫さんが出てくるとそちらに目がいってしまう・・・。
素人目でもダンスの技術が高いことが分かりました。関節あるの・・・?

あと「世界の王」!
「エメ」と「世界の王」はかなり有名な曲らしいですね。
サビがキャッチャーで、一回きいただけですぐに覚えられました。
朝から夜まで〜♪
そんなにミュージカルに詳しいわけではないですが、曲が良い!と心から思えた作品は初めてでした。

私はこの作品を見て、ミュージカルというものにすごく興味を持ちました。きっかけになってくれたいくちゃんありがとう。マジで感謝。
これからも色々と観てみたいなー。
とりあえずチケットを取ってある残り三公演!楽しみたいです。